手延べ製法について
白石に息づく百三十余年の伝統と技
手延べは太い一本の麺を”延ばしてまた延ばし”を丁寧に繰り返し細くしていく製法です。はたけなかでは昭和六十年にこれを復活し、コシが強くてつるつる食感の手延べ温麺を現代に蘇らせました。また、半乾燥させてつくる手延べ生うどん、手延べ生そばはコシの強さだけでなく半生めん独特の滑らかな麺肌とツヤがお客様からご好評いただいております。
手延べめんづくりは朝早くから仕込みが始まります。「粉練り」「踏みのし」「包丁切り」「太巻き・細巻き」「あやがけ」「こびき」「はたがけ」「整形」。ひと工程が終わる度に麺を熟成させるのも手延べめんの美味しさの秘訣。職人がひとつひとつ丁寧に時間をかけてつくりあげていく工程をこれからご紹介いたします。
1.粉ねり
春夏秋冬、季節によって麺生地は様々な顔を見せてくれます。職人はその日の気温や温度、湿度から水と食塩の配合を決めます。手で麺生地の温度、やわらかさや弾力などを感じ取りながら繊細な調整をしていきます。出来上がった麺生地はゆっくりと寝かせ、熟成させます。
2.踏みのし
練り上げた麺生地をタライのまま足踏みした後、アルミ板に裏返してさらに足踏みで丁寧に広げていきます。
7日は白石温麺の日
蔵王山麓の豊かな自然が生んだ美しい水が豊富な白石には、白石和紙、小原の葛、そして白石温麺の三つの名産品があります。清らかな水が流れるこの風土だからこそ生まれたこの三つの名産は「白石三白(しろいしさんぱく)」と称されたほどでした。
時代は流れ三白のうち和紙と葛は商業としての生産が途絶えてしまいましたが、白石温麺は現在もこの土地で伝統を守り続けています。2014年4月には白石市が条例を制定し、7月7日の「乾麺の日」にならって、毎月7日を「温麺の日」に定め、白石温麺のPRと消費拡大に努めています。
つなげていきたい、次の世代へ
全国でも珍しいこの長さ9cmの「白石温麺」は400年という長い歴史の中で、有数の麺産地と評される時代もありました。しかし時代の移り変わりと白石の人口減少に伴い徐々に生産量が減り、製造所も減り、今となっては「温麺」は読み方も知らないひとの方が多いかもしれません。
それでもはたけなか製麺はひたすら美味しい白石温麺づくりを追求してきました。明治二十三年に創業してから百三十余年、毎日毎日天候と小麦粉に向き合い、試行錯誤しながら、欠かさず製麺技術を磨き上げてきました。
「最適の材料を使い、ていねいな仕事を心がける」
技術だけではない、思いをこめた麺づくりを通して、多くの方々に笑顔と喜びをお届けしたい。そうしてつくった白石温麺のおいしさを全国の皆様に知ってもらいたい。
そういう思いでつくりあげた、はたけなか製麺の白石温麺をぜひご賞味ください。